家族社会学者である永田夏来さんの著著『生涯未婚時代』読みました。
購入した理由は、僕が独身ということもあり「未婚」というキーワードに興味を持ったからです。
日本で未婚率が上昇して少子化を招いている理由や、家族のあり方について考えさせられる内容でした。
1、未婚率の上昇には理由がある
家族社会学※が専門の著者の視点で現代の若者の生き方や、家族のあり方ついて詳しく考察されています。
家族社会学(かぞくしゃかいがく、英語:family sociology)は、集団としての家族とその形態や機能、そこにおけるさまざまな病理などを研究テーマとする学問。社会学の一分野。
「家族社会学 」『フリー百科事典 ウィキペディア日本語版』より。
家族社会学 (2018-10-17T04:56Zの版)
また、未婚率が上昇している理由や昔と現代のコミュニティの違いがわかりやすく説明されています。
昭和の好景気だった頃と現代では社会を取り巻く状況が違うので、結婚に対する考え方が変化するのも納得です。
2、結婚というシステムの限界
結婚というのは社会で生きていく時に合理的で助け合いのできる良くできたシステムなので、お金のない人ほど結婚した方が効率よく生きられると思います。
ただ、結婚というライフスタイルが崩れかけている現代において昔からの固定化された生き方はあまり説得力がありません。
少子化になるのは日本の若者が結婚というスタイルに疑問を持ち始めた徴候なのではと思います。
また、昔にくらべて特に男性の婚活のハードルの高さは異常に上がったと思います。
そのハードルを越えられない人は婚活を諦めてしまい、婚姻率が低下するという結果を招いていると思います。
3、結婚のハードルの高さ
結婚に対するハードルは、昔とは比べものにならないくらい高くなりました。
見合い結婚が消滅しかけているのがその証拠で、自力で恋愛できない人は結婚などほど遠いものとなっています。
昔であれば、一定の年齢になった人を周囲は放っておかず、どこからか紹介されて結婚するというスタイルが定着していました。
結婚が難しくなったというより、結婚というスタイルが割に合わないことに、みんなが気づき始めているのかもせれません。
4、コミュニティの多様化
結婚をテーマにした人気ドラマ「逃げ恥」と「タラレバ娘」を例に、それぞれの立場による結婚観のわかりやすく解説されていました。
立場によって結婚への考え方は様々ですし、結婚しないのも選択肢であるという場合もあります。独身であっても昔ほど珍しがられなくなったように、世間の考え方も変わってきます。
従来の家族というスタイルにとらわれず、様々なコミュニティで繋がっている多様性のある社会が健全だということを本書を通じて実感しました。
【まとめ】生き方のスタイルはいろいろ
昔の家族は家督は長男が継いで、次男や三男は実家以外で家族を作るのが一般的でしたが、今やそのようなスタイルは崩壊しつつあります。
本書を読んで、一定の年齢になったら結婚し家族を持つという生き方がある一方、自分に合わなければ、あえて結婚しなくていいという生き方も徐々に認められていく世の中になりつつあるという印象を持ちました。
近年では家族間での事件が多く、もう一度立ち止まって家族とは?結婚とは?ということを考えるのに、本書はいいきっかけを与えてくれたと思います。
結婚だけが人生ではないと思える内容でした。